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社長業と家庭は両立できる? 女性経営者2人が語る働きやすい職場づくり

「女性社長」と聞くと、どんなイメージが浮かびますか? 仕事一筋でプライベートはほとんど犠牲にしているという「バリキャリ」な印象を持つ方が多いかもしれません。育児や家庭のことは後回しにして、ひたすらキャリアを追い求める…そんな姿を思い浮かべた方もいらっしゃるのではないでしょうか? でも実際には、影で努力しながら、仕事と家庭の両立を実現している女性社長もたくさんいます。

2024年、日本での女性社長の割合がついに15%を超えました(※)。その増加の背景には、仕事と家庭の調和を図りながら日々奮闘している女性たちの姿があります。今回は、そんな女性社長の中でも、家庭と仕事のバランスを巧みに取りながら事業を展開してきたQOOLキャリア代表と、SEから30代で社長にキャリアアップを重ねてきた阿波 瞳さんのオンライン対談を企画しました。

女性社長としての共通点や、それぞれの視点がどのように形になったのか、そして実際にどんな工夫や悩みがあったのかを深掘りしていきます。これからの働き方を考える上で、きっと多くの気づきが得られるでしょう。
(本対談は、2024年8月に実施されました。)

(※)「2024年の全国の女性社長64万9,262人「女性社長率」は15.24%、14年間で3倍増」(株式会社東京商工リサーチ) 記事はこちら

対談に登場する女性社長プロフィール

阿波 瞳(あわ ひとみ)さん(写真左)
株式会社ProVision 取締役社長
2004年、親会社の株式会社システナにSEとして入社し、営業や新規事業開発も経験。2009年にProvisionへ転籍し、研修講師、営業、テストエンジニアとして様々なプロジェクトやマネジメントに従事。2014年に執行役員社長に就任し、ブランディングなどを統括。現在は取締役社長として企業ブランディングや採用活動を統括。社長に就任してから産休育休を2回取得し、10歳、5歳の男の子を育てながら、社内のロールモデルとしても柔軟な働き方を推進。家庭と仕事を両立させ、女性のキャリア支援にも尽力している。

山中 泰子(やまなか やすこ)(写真右)
株式会社QOOLキャリア 代表取締役社長
大学卒業後、ピラティスインストラクターとして活動。結婚を機に大手IT系人材サービス企業に入社。人事部にて採用・育成・制度設計などに従事し、自治体と組んでひとり親家庭の就業支援事業を立ち上げ、保育施設併設の就業支援施設を運営。その後、上場企業での人事担当執行役員、スタートアップ企業の人事責任者を経て、2022年4月からQOOLキャリアの代表に就任。1児の母として、仕事と家庭の両立に悩む女性のキャリア支援に尽力し、自身の経験を活かして、柔軟でサポート力のある企業文化作りにも取り組んでいる。

キャリアスタートと転機

――お二人は子育てをしながら企業の代表として活躍されていますが、キャリアスタートはどのようなものだったのでしょうか?

阿波さん(以下、敬称略)
私のキャリアは、2004年に新卒で親会社の株式会社システナに入社したところから始まりました。最初の3年間は、システムエンジニアやネットワークエンジニアとして現場で経験を積み、その後グループ会社で研修講師や営業職を経験しました。2009年に株式会社Provisionに転籍し、5年間テストエンジニアとしてプロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーを務めました。

私が社長に就任した際、まず自分自身の将来設計も含めて「産休や育休を取得する」と宣言しました。そして実際に取得し、下の子どもが3歳になるまで時短勤務を取り入れながら経営に携わってきました。この経験は単に自分のためだけでなく、会社全体の働き方を見直すきっかけにもなりました。社員が安心して働ける環境をつくることが、自分の役割の一つだと強く感じたからです。

また、創業社長ではない分、「経営者とは何か」「社長としての自分に何ができるか」を常に模索しながら取り組んできました。初めての経験ばかりで悩むことも多かったですが、社員の皆さんの支えに助けられながら、この10年間を駆け抜けるように過ごしてきました。

山中
私も2004年に新卒で社会に出たので、阿波さんと同じ世代ですね。最初は株式会社パソナテックで人事キャリアをスタートし、新卒やIT人材の採用を担当しました。その後、株式会社モブキャスト(現・モブキャストホールディングス)に転職しました。

上場を目指して人事の立ち上げを担い、上場後も責任ある役割を務めていましたが、産休育休を機に執行役員の職を辞任せざる終えなくなりました。その後復帰して時短勤務で働いていましたが、キャリアの積み重ね方に悩む時期もありました。その後、スタートアップ企業で人事部門の立ち上げからIPO達成までを経験し、再び成長の厳しさとやりがいを実感しました。
2022年4月に株式会社QOOLキャリアの代表に就任し、これまでの経験を活かしながら、新たなチャレンジをしています。

「社長」と「母親」、両方の役割をこなす日々

――「社長」として、「母親」として、どのような両立の難しさがありましたか。

阿波
子ども2人との日常は常に忙しく、特に社長に就任して最初の5、6年は、時間の圧倒的な不足を痛感する日々でした。「もっとできるはずなのに、物理的にできない」という悔しさが募り、それをどう乗り越えるかが大きな課題でした。家事や育児をこなしながら仕事を進めることの難しさを実感し、最終的には「割り切る」ことが必要だと気づきました。

(Provisionの阿波様と10歳、5歳の活発なお子さまとの笑顔あふれる一枚)(Provisionの阿波様と10歳、5歳の活発なお子さまとの笑顔あふれる一枚)

山中
私も娘がいるので、家の中が慌ただしくなる感覚はすごく分かります。社長という立場が少し特別視されがちで、気軽に相談できる相手が限られている点も、両立をさらに難しくさせていたと思いますね。それでも最近では、悩むこと自体が貴重な経験であり、時には「諦めたり、諦めなかったり」しながら、自分で決断し、全力を尽くしてきたと振り返っています。

(QOOLキャリアの山中と、笑顔が素敵な10歳の娘さん、可愛い愛犬との一枚)


――どんな工夫で仕事と家庭のバランスを取られましたか?

阿波
自分の気持ちと折り合いを付けるまではすごく難しかったですが、「今はこれだけしかできないけど、この後は必ず前進して、全てをやりきるために今があるはず」と信じてきました。家事育児においては、効率化を最優先に考え、「頼れるものは全て頼る」という方針で便利家電を積極的に導入するなどして時間を捻出しました。それでも仕事と家事育児に全力投球すると、あとはもう寝るだけの毎日で。悔しさをバネに、10年間ずっと苦しみながら続けてきた工夫が、ようやくこの1、2年で形になってきた実感があります。

山中
私は性格的に「頼る」ことが苦手で、家事も自分でやりたいタイプです。洗濯物は外干ししたい、食器も手で洗いたい、掃除もアウトソーシングしないで自分でしたいんですよね。そうした中で自分がやることを前提に効率化を徹底することで、少しでも余裕をつくるようにしました。掃除の頻度を減らし、調理を簡単にするなどタスクを絞りつつ、「本当に自分がやりたいこと」を見つめ直す時間を持つように心がけています。この1年でようやくその成果を実感していますね。

自らの経験を活かした柔軟な制度作り

――これまでの経験が、社員の働きやすさを支える制度にどんな形で活かされているのでしょうか?

山中
私が苦労してきた経験を、若い世代、これから結婚して出産して、もしくは介護をしてという方の働き方に役立ててもらいたいと考えています。同じような困難を少しでも短くできればという想いで、経営に携わっています。

社内では、子どもの誕生日に半休を取れるキッズバースデー休暇や、リモートワーク、時短勤務など、子育てと両立しやすい制度を整備し、実際に100%の利用率です。特に、社員全員がママという環境もあって、子育てとの両立を後押しする取り組みはとても好評ですね。
制度だけではなく、産休に入る社員には私から安産祈願の絵馬を贈ったり、妊娠・産後に必要な葉酸サプリメントを毎月プレゼントしたりと、会社全体でその節目を祝福するカルチャーがあります。この温かい雰囲気は、私たちの職場の大きな魅力だと思っています。
また、自社で運営している福利厚生サービス「TUMUGU(ツムグ)」を通じて、働きやすい環境をこれからも支えていきたいですね。

(産休に入る社員に、QOOLキャリア代表の山中から安産祈願の絵馬を贈る恒例イベントの様子)

阿波
当社含むシステナグループには「人柄重視で採用し、エンジニアを社内で育てる」というカルチャーがあります。私自身もその環境で成長した一人です。2005年に子会社として創業したProVisionもこのカルチャーは受け継がれ、同じ方針で未経験からでも技術を身に着けられる環境が続いています。2009年に転籍してからも、品質向上に繋げてきました。

現在の役員は創業当初に未経験からエンジニアとしてキャリアを築いてきたメンバーが多くいます。だからこそ、社員がやりたいことを実現し、家庭と仕事を両立できる環境を提供することを大切にしています。私自身も、テスト工程の重要性が必ずしも十分に理解されない現場で苦労した経験があります。それでも、「お客様のサービスをより良くするパートナー」という姿勢を貫き、信頼関係を築いてきました。このような考え方が、柔軟な働き方を実現するための基盤になっていると思います。

実際、社員が活躍しやすいように契約内容の見直しをお願いすることが増えてきました。たとえば、常駐型の案件でも時短で働ける環境を整えるなど、ライフステージが変わっても安心してキャリアを続けられる選択肢が広がっています。これにより、一人ひとりが自分らしいキャリアパスを描けるようになってきたと感じています。

関連記事:未経験から産休育休を経て活躍されている社員のストーリーはこちら:
https://www.qo-ol.jp/interviews-provision/

ダイバーシティの推進と新しいチャレンジ

――これまでのご経験を通じて、ダイバーシティ&インクルージョン(DE&I)の推進において重要だと感じるポイントや課題は何だと思いますか?

阿波
私がこれまで働いてきた環境では「人と違うこと」があまり歓迎されない空気があったと感じています。自分が子育てを経て、学ぶことは本当にたくさんあったので、そこで知ったことをアウトプットすること、広く知ってもらうこともDE&Iに役立てられるのでは、と思っています。

山中
単なる取り組みとして、表面的なことだけを捉えて、その背景などを社員一人ひとりが自分ごととしてとらえていないことが、日本全体でDE&Iがなかなか進まない原因なのではないかと感じています。社内だけでは限界があることもあると思うので、他社の取り組みを知り、バックグラウンドの異なる人と働くことでどう相乗効果を生むかという発想も必要ではないかと思いますね。

――現在どのような取り組みを推進されているか教えてください。

阿波
ProVisionではさまざまなバックグラウンドを持つ社員が活躍しており、多様性を受け入れるカルチャーが根付いています。これが、アスリート社員やパラアスリート、外国籍の社員にも働きやすい環境を提供できる基盤と考えています。
今年からランチ費用の補助制度を導入しました。これは単なる福利厚生ではなく、社員同士の交流を深め、個人の成長やチームの結束力向上を目指す取り組みです。今後も、社員の夢や理想を実現しやすくする付加価値の高い制度づくりに力を入れていきたいと思っています。

(アスリート社員として競技でも活躍する馬場選手とグローバル社員の様子)

関連記事:馬場選手の活躍の様子はこちら:https://www.pro-vision.jp/news/2024-01-16-1363/

山中
私たちは、さまざまな背景やライフステージを持つ方々が働きやすい環境を整えるために、福利厚生サービス「TUMUGU(ツムグ)」を広める活動にも力を入れています。日本では、制度が整っていても社内が変わらないという課題を抱えている職場がまだ多く見受けられます。
そこで、仕組みだけに頼らず、社員一人ひとりが制度を「自分ごと」として捉え、自分らしく働ける環境を目指しています。これはエンドユーザーのためだけでなく、社員自身の幸せにもつながると考えています。その思いを込めて、「TUMUGU(ツムグ)」のサービスをブラッシュアップし続けています。

迷いながらも前進するみなさんへエールを

――様々なバックグラウンドを持ちながら働く方々にメッセージをお願いします。

阿波
「私たちの会社ってなんであるんだろう?」「どういう存在意義を持っているんだったっけ?」と立ち返り、1年をかけてミッション・ビジョン・バリューを今期あらたに作りました。「ITとアイデアで 世界をより良くする」というミッションは「世界をより良くするために」「全社員の夢や理想を実現する環境をつくるために」働くという想いが込められています。
仕事でも人生でも、思い通りにいかないことや、やりたいけれどできないことも多いですが、コアになる自分の「ミッション」をしっかり持つことで、諦めずに少しずつ理想に近づくことができるのかな、と思います。迷っているときこそ、この想いを大事にしてみるのはいかがでしょうか?

山中
子育てや介護をしている時は、キャリア軸で物ごとを考えられなかったり、家庭を優先する時期があってもいいと思います。でも、仕事をするときには、なぜ自分がこの会社で働き、何を実現したいのか、どんな方向に向かっているのかをしっかり意識するためにも、切り替えを大切にしてくださいね。
私自身、やりたいことや社会に対してどんな価値を提供したいかという本質を大切にしながら、迷いながらも前進してきました。未経験だから、母親だから、とあまり決めつけずに、新たなチャレンジをしていただきたいと思います。応援しています!

Provisionは一緒に働く仲間を募集しています。

ProVisionは、時流に合わせ変化し続けるIT企業であり、ソフトウェアテストを軸に幅広い総合ITサービスを提供しています。私たちのMissionは「ITとIDEAで世界をより良くする」こと。そのために、DX支援や開発、プロモーション事業など、多岐にわたる分野で高品質なソリューションをお届けするとともに、様々な社員が活躍できる場を提供しています。

私たちと一緒に新たな挑戦をはじめ、世界をより良くするための一歩を踏み出してみませんか?皆さんのご応募を心よりお待ちしています。
採用サイトはこちら:https://recruit.pro-vision.jp/
のミッション・ビジョン・バリューについてはこちら:https://www.pro-vision.jp/news/2024-05-15-2079/

社員の働きがいをアップデートする福利厚生サービス「TUMUGU(ツムグ)」

QOOLキャリアは、「私らしく働く」ことができる社会環境を当たり前にするためのすべてのことをサポートしています。
企業が抱える組織課題、社員が職場に言えない悩み、どちらにも自分らしさを追求できる仕組みを提供し、お互いに成長し続けることができる社会を目指します。

その一環として、福利厚生サービス「TUMUGU(ツムグ)」(以下、TUMUGU)を提供し、企業と社員の双方をサポートしています。TUMUGUは、育児や介護、妊娠中の方々を対象にした多様なサポートを提供し、社員がライフステージに合わせて無理なく働き続けられる環境づくりを支援します。個々のニーズに寄り添い、企業の成長と従業員のワークライフバランスを両立させるための柔軟なサービスを展開しています。

TUMUGUのサービスサイトはこちら:https://tumugu-service.jp/
お問い合わせはこちら:https://career.qo-ol.jp/tumugu/