子連れ離婚しても子育てに苦労しない 今注目される 〝共同養育〟のススメ
子供を連れて離婚したら、一人で子供を育てていく――そんな世間の常識を打破し、〝共同養育〟を推進しているしばはし聡子さん。離婚にまつわる問題を抱えている人のコンサルティングや別居・離婚後の子育てのサポートも行っています。しばはしさんの提唱する〝共同養育〟とは? 「キャリアウーマンにも実践してほしい」と力説する理由とは?
しばはし聡子
一般社団法人りむすび
共同養育とは別居・離婚後も両親で子育てすること
離婚して子供と暮らしている状態を、世間では「ひとり親」「片親」と呼びます。
でも、離婚したら子供の親はひとりになるのでしょうか? 母親と暮らしているとしたら、父親との関係はどうなるのでしょう。
離婚しても、親子関係は永遠。夫婦は破たんしても、父親と母親であるという親同士の関係も永遠に続くのです。離婚しても、子供にとって父親と母親のふたりが親であることは永遠に変わりません。
だから、親の都合で別居や離婚をしても、子育ては両親でするのが本来の姿。それが共同養育です。
私も離婚し、中学生の息子とふたりで暮らしています。離婚直後は元夫に子どもを会わせることに後ろ向きだったのですが、今では仕事で帰りが遅くなる時や泊まりがけの出張の時には、息子は元夫の家へ。愛する息子が誰よりも安心できる、最高の預け先です。
子どもにも自分にも、いいことづくめの共同養育
共同養育は、子どもにとってはもちろん、子どもと暮らす母親にとってもメリットばかり。まさにいいことづくめです。
◆子どもにとってのメリット
・父親からの愛情を感じて育つ
・男親ならではの遊び方や考え方に触れられる
・母親との関係がうまくいかない時に逃げ場になる
◆母親にとってのメリット
・子どもを父親に預けている間、自由な時間ができる
・仕事や自己実現に邁進することができ、キャリアアップの可能性も
・子どもと定期的に会えている父親は養育費の支払いに積極的
実際、私の周りでも、離婚して輝いているお母さんには共同養育を実践しているケースが比較的多く見られます。保育園のお迎えを元夫に行ってもらって、お泊まりできる環境にしておけば、思いきり仕事をしたり、息抜きや自分磨きの時間を確保したりすることも自由。元夫が育児をきちんとできないから心配だとしたら、元夫にがんばってもらえばいいのです。
子どもの学校の保護者会など学校行事にも、私が仕事で行けない時には元夫に出てもらっています。「子どもの学校に足を踏み入れられたくない」というお母さんも多いですが、そこは、親としての強力なマンパワーをフル活用しない手はありません。
一人で育てるのが大変なら、その大変さをわかってもらうために一緒に育ててもらえばいいし、夫にも子育ての大変さがわかるから、「ありがとう」が増えるのではないでしょうか。離婚してからの方がいい関係になる元ご夫婦もたくさんいらっしゃいます。
また、共同養育は、キャリアや自己実現を追求する女性にとっても大きなメリットが。共同養育に踏みきった女性から「仕事や趣味の時間が充実しています」「思いきって起業しました」というお声をいただくこともあります。
離婚してひとりで育てなくては、とワンオペ育児に疲弊している方もいらっしゃいます。でもそれは、自分も幸せではないし、子どもにとっても親が疲れてイライラしていては悪影響。
発想を転換して、たとえ離婚したとしても、ふたりのマンパワーで育てていけばいいのです。離婚したらひとりで育てなければならないというのは思い込み。離婚したって、元夫にも親として半分育ててもらえばいいのです。
そんなふうに前向きな決断をするお手伝いをするのが私の役目。子どものためと思ってもなかなか踏み出せない方へ、ご自分自身にもメリットのある共同養育を提案しています。
共同養育の必要性に気づくとハッピーになれる
ひと昔前までの固定観念を持ち続けている人は、離婚すると元夫は「排除」。元夫のことは大嫌いでもいいのですが、父親という存在を排除すると、子どもにはもちろん元妻にとってもデメリットが多いと思いませんか? そのことに気づいた人のほうがハッピーに暮らしています。
そのような方々から「もっと早く気づけばよかった」というご感想をたくさんいただきます。私自身も、離婚して1年ぐらい、気づくことができませんでした。1年経って、「やっぱりこのままだとまずいな」と、自ら乗り越えようというきっかけがあったのです。
そこで元夫に、子どもをごはんに連れて行ってあげてください、という内容のメールを、いきなり送りました。今までさんざん元夫を無視し続けてきたので、さぞかし驚いたことでしょう。
すると、すぐに「ありがとう! 喜んで!」という返信が。「ああ、私、何をしていたんだろう」と思ったら、肩の力がスーッと抜けました。
共同養育がうまくいくかどうかは元夫の性格による、という側面もありますが、相手は自分の〝鏡〟。自分がかたくなだったから相手もかたくなになります。もちろん、子どもに危害を加える父親の場合は慎重に対応する必要がありますが、こちらが一歩でも歩み寄れば、相手が歩み寄る可能性も高いのです。
自分の気持ちにゆとりがないとできないし、相手のせいにしてしまうのも無理はありません。でも逆に、ゆとりをもつためにその一手を、いかに先に打つかで、自分が楽になるのです。
相手のためではなく自分が楽になるために、少し考えてみてはいかがでしょう。
元夫婦は近すぎる関係なので、愛情が憎しみに変わると、「友達にはそんなこと言わないでしょ」というようなことを平気で言います。その延長を離婚した後も続けていると、板挟みで苦しむのは子供。愛する子供を自分自身が苦しめているのです。
それでも「どうしても自分からはそんなことできない」という場合は、どうぞご相談ください。離婚を迷っている段階でも離婚後年数が経っていても大丈夫。どのタイミングでも、気づきを得るのに遅すぎるということはありません。
【講演会告知】 共同養育に関する講演会を開催! 詳細はお問い合わせください。 ■日時 2018年 12月2日(日)14:00~16:30 |