「子育てがキャリアの邪魔をすることはない」と語る株式会社リップル代表の紙谷由美子氏の仕事と子育ての両立への考え方とは
株式会社リップルの代表を務める紙谷由美子さんは、「経営者としても母親としても納得のいく生き方をしたい」と語ります。経営者として会社や社員を大切にする中で、どのように子育てを両立させているのかその想いと考え方についてお話をお伺いしました。
紙谷由美子
株式会社リップル
働きながら出産は絶対に無理、そう思っていた独身時代
会社を設立して以降、私は毎日朝から晩まで働いていました。仕事漬けの毎日に、結婚や子育てをする自分が全くイメージできず。私にとっては仕事も子どもも大切でどちらかを手放すことはできないため、経営者であり、また母親として両立することは絶対に無理だと考えていました。
そんなある日、友人から「三連休で出産したよ」という話を耳にして……。詳しく話を聞いていくと、金曜日まではしっかりと働き、その後陣痛促進剤を使用して計画出産をしていました。そして、三連休が明けた火曜日から仕事を開始。1ヶ月間は自宅で仕事を行い、お客さんともやり取りをしていたそうです。
この話を聞いた時に、仕事が大好きな自分でも結婚や出産を実現できるのではないかと思いました。そして、朝から晩まで働く私の仕事スタイルを理解してくれる人と結婚したいと考えているときに今の旦那さんに出会えました。その後、子供も授かって、不可能だと思っていた結婚や出産がいよいよ現実になりました。
仕事に熱中するためには周りのサポートは必要不可欠
無事娘を出産することができましたが、私にとって初めての子供だったためわからないことばかりでした。最初は、出来る限り母である私がこなさなくてはいけないと考えていました。そのため、赤ちゃんを会社に連れて行って面倒をみながら仕事に取り組もうとしていました。
しかし、面倒を見ながらですとメール1本打つのに2時間もかかり、逆に赤ちゃんを置いておくと泣きわめいてしまうので全く仕事は進みません。経営者として仕事を行いながら、子供の世話をすることは負担が大きするため、旦那さんに相談しました。そして、旦那さんが子供の面倒を見る日を作ってもらうことに。それによって、私は仕事に集中することができるようになりました。それ以外にも、一時保育も利用し、出産してから5ヶ月ほどで、十分に仕事が回せるようになりました。
他にも、実家から両親を呼び、同じマンションの違う部屋に住んでもらいました。高齢なので、1日中子供の面倒を見てもらうことはできませんが、毎日、夜ご飯を祖母が作ってくれ、保育園のお迎え当番を祖父、旦那さん、私で回していますので、両親の存在はすごく助かっています。両親にとっても、毎日孫に会えるのがいきがいになっていますね。
子育てを行いながら、仕事に熱中するためには周りのサポートは必要不可欠です。私は結婚を考え始めた時にどういう人が旦那さんであれば子供を育てながらも、仕事に専念できるかを見極め、今のパートナーとお付き合いしました。子育てや、奥さんの働き方に対してどのような考え方なのかは結婚する前に知っておくことも大事なのではないかと思います。
人生において、子供も会社も大切な存在
自分で起業して、13年目になりました。私の中でのイメージとしては、会社が長女で社員が次女、娘が三女です。どの存在もしっかりと目をかけなくてはいけないし、放っておいたら会社は倒産して、社員も路頭に迷ってしまいます。また子供は命を落としてしまう可能性もありますよね。だからこそ私の中では仕事をセーブすることはできないし、また子供の面倒を見ないことやコミュニケーションを取らないということは考えられません。
今までは全部自分でやろうとしていたのですが、出産後、それは不可能だという現実を突きつけられて、人に任せられるようになりました。海外ではベビーシッターを雇って子育てする家庭がたくさんあると思いますが、日々のお世話をベビーシッターに任せたからといって子供への愛情が足りなくなるとは思いません。全ての家事をお母さんが実行しなくてもいいと思いますし、作業はどんどん任せられる人に依頼して負担を軽減していきたいです。私の人生において、子供も会社も大切な存在だからこそ、母親としての自分が担わなければいけない役割はどこで、他の人に助けてもらいたいのはどこなのかをしっかりと見極め、今後も子育てと仕事の両立を行なっていきたいと思います。