澤崎佐知子|「会社員に負けないフリーランス」澤崎佐知子の仕事と家庭を両立する生き方
会社に属することが当たり前ではなくなってきた昨今、フリーランスや副業、ダブルワークなど働き方の選択肢は増え、社会全体がその後押しをしている。
一方で、未だに「結局は会社員が安心」「子育てするならキャリアは諦める」というステレオタイプなイメージは女性の中に根深く残り、家庭と仕事は相容れない存在として認識されている。
それは正しいのだろうか。
そもそも仕事と家庭を両立することなど不可能なのだろうか。「会社員に負けないフリーランス」を目標に働く澤崎佐知子が仕事と家庭の両方を追い求める生き方を教えてくれた。
「終電で帰れたらまだ良い方」働き詰めた20代
デザイナーに興味を持ったきっかけは、バイト先の飲食店で販促としてオリジナルのポップを作る手伝いをしていたときに、「あ、楽しいな」って(笑)。それくらいの感覚でスタートしました。
特にデザイナーの経験もなかった未経験の私を雇っていただいた会社で会社員として働き、上京して、右も左もわからない状態で働いていました。
デザイナーをされている方ならご存知だと思うのですが、デザインは打合せの後の作業になることが多く、夜9時にお客様からメールをいただき、そこから仕事を始めることも少なくありませんでした。
よく「しんどくなかったの?」と聞かれることはありますが、もちろん、体力的・精神的にきつかったです。でも、「仕事なので、全うしなければ」という気持ちでしたね。
この働き方がいつまで続くのか、先が見えない不安を感じていたのも事実だったと思います。
「子供がイメージできない」結婚してわかった生きにくさ
夫とは同じ職場での結婚だったので、夫婦になってからも同じ時間のサイクルを過ごしていたこともあり、むしろ効率的でした。それこそ2人揃って徹夜明け、ということもありました。
結婚して2年、「このままで子供が産めるのか」と考えてみても、全くイメージできなかったです。私の場合、仕事だけをしていたいというわけではなかったので、様々な選択肢の中で葛藤していました。
デザイナーに限らないと思いますが、一度キャリアをストップしてしまうとブランクが発生してもう一度働きだすには、相応の時間と労力がかかります。だからといって、仕事を諦めて専業主婦になりたいとは思えず…。
初めて仕事と家庭というものについて悩み、不安を感じ、これまで働いてきたやり方とは全く異なる方法を見つけなければいけない焦りを感じていました。
そんな時にたまたま『クリエイターズマッチ』がフリーで働ける人材を採用する試験を実施していることを知りました。
「働きながら、子育てもできるかもしれない」そう思い立って、すぐに動き出しました。未経験のwebデザインなので仕事にできるかどうか自信もありませんでしたが、すでに離職していたので、できるようになるまでトライすればいい!という気持ちだけで、動いていましたね(笑)。
夫も応援してくれて、半年間でデジタルハリウッド(デジタルハリウッドSTUDIO渋谷)に通いながらWEBを学び、クリエイターズマッチの試験を受けました。結果は合格。合格率10%以下ということですが、滑り込みでも合格できて本当によかったです(笑)。
デジタルハリウッド在学中に子供を授かることができ、フリーランスになる準備と出産に向けての準備とで、またしても右も左も分からない生活を送っていました。
仕事が生活を充実させている
無事出産して3ヶ月ちょっと経ってから仕事を再開しました。復帰に不安はありましたが、様子を見ながら徐々に仕事を増やしていきました。
子供が小さな頃は寝ている時間が多いので、その時間を利用して仕事をすることができました。ただ3歳になった今はとても活発で、9:00〜14:00と20:00〜しか仕事をできる時間がありません。毎日、日付が変わる頃まで働いていますが、まだまだやりたい仕事がたくさんあります。
お絵かきをしている時に、子供と一緒に絵を描きながらデザインのラフ案を描いたり、膝の上に子供を乗せてパソコンに向かったりと、仕事への取り組み方も工夫しました。それでも止むを得ず、仕事を断るときは悔しいです。想定外を想定内に、とは考えてはいますが、熱を出すなど、やはり子供は想定を超えてくるので(笑)。
子供を自分の手で育てたいと思っていた私にとっては、今の働き方以上に良いものはないと思っています。少なくともこうしてフリーで働いて、継続的に仕事がもらえるのは、誰かに必要とされるスキルがあってこそですし、あの時がむしゃらに働いてよかったと思っています。 私の場合、家庭のことばかりやっていてもストレスが溜まってしまうので、仕事をやりきってスッキリした状態で毎日を終えることが今の生活の充実に繋がっています。
フリーでもある程度のお金は得られますし、充実しています。できること、できないことは様々ですが、働き方にこだわって成し遂げたいことを諦めるのは勿体無いので、今後は同じように仕事と家庭の両立で悩むデザイナーの方々の1つのモデルケースになれれば嬉しいと思っています。