子供も欲しいが仕事もしたい、働く母が悩む「子供の年齢差」のヒント
ワーキングマザーの悩みはつきないものです。妊娠してから育休(育児休業)に入るまでは日替わりの不安定な体調と闘いながらの業務引継ぎ。出産後も保活(子どもを保育所に入れるために保護者が行う活動)に神経を削り、保活に打ち勝ってからは復職に向けての準備に追われ、復職してからは仕事と家事と育児の三つ巴(どもえ)。やっと我が子も自分も、この生活スタイルに慣れて一息ついた頃、ふと気になるのが、「さて、2人目どうしよう?」ということです。
「授かりものといえども、やはり兄弟の年齢差や、仕事への影響を考えるとなかなかタイミングが難しい……」
今回はそんな悩みを抱える、働く母に向けて2人目の子供の出産年齢差を働く女性の観点からご紹介していきます。
目次
子供の年齢差は何歳が良いのか
一人っ子でもいいけど、できれば兄弟を作ってあげたい。でも、仕事をしているとわからなくなる第2子妊娠・出産のタイミング。
雇用保険関連法の改正により、育休が最長で2年間取得できるようになったのは2017年10月とつい最近のことです。「育児休業給付金をもらいながら2年のあいだ育休を取得できるならばぜひ休んでみたい!」と思う気持ちも少なからずあるはず。しかし実際には、保育園に確実に入園させるには1・2歳児は競争率が激しく、待機児童になってしまう可能性も高くなります。そのため特にワーキングマザーであれば0歳児のうちに入園させることを目指す人が多いと聞きます。また、2年も職場から離れていると「会社に戻りづらくなるのではないか」、「自分自身も業務についていけなくなってしまうのではないか」という不安もついて回るのが実際のところでしょう。
2歳差が良いかと思っていたけれど、復職してすぐまた仕事を休むのは気が引ける……。年子だと、育休中にまた産休に入っちゃうから働かない期間が長すぎるなぁ……。そしたら3歳差にする? でも、3歳差っていろいろと大変って聞くし、じゃあ4歳あけるとしたらあとどれくらい働いたら妊活すればよいのかな? いろいろな情報と気持ちが交錯して、悩みは堂々巡り。さて、整理してみましょう。
平均年齢差はたったの○歳
平成22年に厚生労働省が行なった「妻の平均初婚年齢・母の出生時平均年齢・出生までの平均期間-昭和50~平成21年-」という調査データによると、
平成21年 母の出生時平均年齢
第1子 29.7歳
第2子 31.7歳
第3子 33.1歳
となっています。
ここから第1子と第2子、第3子におけるそれぞれの差異を計算してみると、兄弟の年齢差の平均がとれます。
31.7-29.7=2.0(第1子と第2子の差)
33.1-31.7=1.4(第2子と第3子の差)
こうして、第1子と第2子の年齢差平均は、2.0歳となり、第2子と第3子の年齢差平均は1.4歳となります。
数値で見てみると、思いのほか短いように感じませんか?
ちなみに平成元年のデータから同じように算出すると、第1子と第2子の年齢差平均は2.4歳となり、第2子と第3子の年齢差平均は2.3歳となるので、年齢差は小さくなっているようです。晩婚・晩産といわれる傾向の中で、短いスパンでの出産を目指す夫婦が増えているのかもしれませんね。
年齢差が与える子供と私への影響
兄弟の年齢差によって子ども同士の関係性や生活への影響などはどうなるのでしょうか。児童心理カウンセラーの横山人美先生の分析と、3歳差兄弟の育児中である筆者自身の体験や見解をもとに年齢差別に見てみたいと思います。
2歳差:短期集中型育児で働く母の助けにも
「自己主張が一番激しいのが2歳」と横山先生。ちょうど第2子が生まれたころ、第1子が「イヤイヤ期=第一反抗期」に当たり、子ども同士の関係性も「ライバルのような存在になる」といいます。
実際に周りの2歳差兄弟を見てみても、兄弟というよりもお互いに対等な関係性であろうとしているように見られます。能力差も大きくないので、すべてまねをしたがり、おもちゃも同じものを使いたがって取り合いをする。イヤイヤ期のタイミングと、赤ちゃんの登場による「赤ちゃん返り」が併発していることも多いようにみえます。 同性兄弟であったとしても幼稚園や中学校・高校などの制服のお下がりができないこと、学費が二重になる時期があることで経済的負担が多くなる時期はあります。
また、育休から復職~第2子出産のあいだは短くなるので、1度目の復職を0歳児のうちにするか、育休中にそのまま産休にはいり、休職期間をまとめてしまうか、数か月だけ復職して再び産休にはいるか、など、会社の制度を確認しながらの調整は必要です。
メリットとしては在学期間がかぶるので、運動会や発表会などイベントのスケジュールが調整しやすいことと、大変な期間が凝縮されていること。早く短く大変な時期を乗り切り、また仕事のキャリアを積みに一刻も早く戻りたいという方には良いでしょう。
3歳差:復職の心苦しさと家計の計画性が必要
3歳差は「成長する段階ではっきりとした“差”がありますので、お互いに上下関係も意識できる」「それぞれの立場から尊敬したり、いたわったりという思いやりの心も育ちやすい」と横山先生は分析されています。
私自身、3歳差の2男児の母なのですが、まさにそのようであると感じます。1度目の育休から復職後、1年と2か月ほど勤務したのちにふたたび産休に入らせてもらいました。弟の誕生時に2歳8か月であった長男は、かなり気の強い「ザ・やんちゃ坊主」というタイプで、保育園でもお友達とぶつかることの多いような子でした。けれど、生まれたばかりの弟の「小ささ」と「か弱さ」に、すぐに兄としての意識は芽生えていたように見えました。お世話をしたがったり、かわいいかわいいと抱っこをしたがったりと、それはそれはとても微笑ましい光景であったことはずっと忘れられません。赤ちゃん返りもありましたが、「明らかな能力の差」による兄としての意識が勝っていたのか、想定していたよりは容易に終わったように思います。
自身のキャリアとしては正直なところ、第2子の妊娠はうれしかったけれど、復職して1年少々でまた仕事を休ませてもらうという状況に心苦しさはありました。上司や同僚に妊娠を打ち明けづらかったのは覚えています。また3歳差は、入園・入学など、進学の年がかぶることが多いので、学用品の準備や、入学金の工面などには計画性が必要ですね。
4歳差以上:職場への影響は最小限に。ただ子育ては長期化
横山先生は「上の子は下の子の面倒を見ることで、気配りのできる優しい子になったり、家事が身についたりすることも考えられます」とメリットを挙げる一方、「成長する環境が違いすぎるために、お互いがひとりひとりになってしまい、兄弟愛が育ちにくい場合もあります」といっています。
周りの4歳差以上の兄弟を思い返してみると、かなり個人差があるという印象です。第2子が生まれたばかりのころは、第1子が小さなお母さん・お父さんとしてお手伝いをしてくれるケースは実際によく目にします。第1子が幼稚園や保育園、学校などにすでに通っているようであれば、赤ちゃんだけと過ごす時間が多くとれるので、母の精神的・体力的な負担は軽減されます。
復職してから、2、3年以上しっかりと勤務をしたうえで、再び育休に入ることもできるので、自身の職場での立ち位置もコントロールしやすいです。2回目の育休にむけて、この先の働き方やキャリアプランを考える時間もしっかりととれることでしょう。
デメリットをあげるとしたら、育児が大変な時期が長期化してしまうことと、第1子の精神面の発達とともに、メンタルケアが難しくなってくること。かわいい赤ちゃんにばかり目が行ってしまい、第1子をうまく尊重できずにいると自我の形成される繊細な時期ゆえに「自尊心」を傷つけることになってしまうかもしれません。
まとめ
兄弟の年齢差の平均と特徴について書いてみましたが、一人っ子が増えていることも統計で明らかにになっていますね。一人っ子は、たとえて言うならば「一球入魂!」というようなイメージでしょうか。親の愛情をすべて一人でうけとめることができ、経済的負担も複数よりは軽くすむというメリットがあることと、女性の出生年齢が上昇していることから、近年では増加の一途をたどっていると考えられています。 働いていたいという気持ちの強い働く母にとって、そういう意味では一人っ子はメリットが多いとは思います。ただ、育児の大変な時期はそう長くありませんし、女性の妊娠・出産にチャレンジできる期間も限られています。夫婦それぞれの兄弟構成や家庭環境によってもイメージはさまざま。夫婦でよく話し合い、理想の家族設計を考えることがまず始めにとりかかるべき一番大切なタスクだと思います。
参考:
・厚生労働省:http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/syussyo06/syussyo1.html
・excite:https://www.excite.co.jp/News/net_clm/20180106/Goowatch_8b4fefaef23d3bf84df663ef6337e0a2.html
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