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荻野妙子さん、向井沙織さん|ママのアイデアを制度づくりに活用。ライフもキャリアも両立し続けたい!を叶える「職場」とは?

ショッピングセンター(以下、SC)運営を通して”まちづくり”の一翼を担う、株式会社東急モールズデベロップメント(以下、TMD)の人事部で活躍する荻野妙子さん、向井沙織さん。TMDには20代後半から30代前半の女性が多く所属しています。TMDが運営する二子玉川ライズ・ショッピングセンターでは、取材に伺った夕方の時間帯に、時短社員の皆さんが次々に退社されていました。より良い職場づくりのポイントや各種制度の活用方法についてお話を伺いました。
(2024年8月に取材)

この記事に登場する人

荻野妙子さん(写真中央)
株式会社東急モールズデベロップメント 人事部/シニアマネジャー
大学卒業後、輸入車ディーラーに入社。その後洋菓子メーカー、人材紹介会社を経て、2017年12月にTMDの人事職の人材として中途入社。以降人事部にて採用・制度設計・人材開発・教育研修などに従事。2024年7月に管理職登用。人事部在籍7年目。趣味はバスケットボール。取材時はパリオリンピック開催中で応援に熱が入り、喉を痛めていたほど。社内バスケットボール部の代表も務める。社員にライフとキャリアを充実させてイキイキと働いてほしいという強い想いがあり、自分自身が体現者となっている。

向井沙織さん(写真右)
株式会社東急モールズデベロップメント 人事部/マネジャー
同業他社から2015年10月に中途入社。八王子東急スクエアに所属し、運営業務に従事。入社2年目の2017年に産休育休を取得。武蔵小杉東急スクエアに異動後、営業、施設の運営管理を担当する。2020年に2回目の産休育休を取得。2021年4月に復職とともに人事部に異動。キャリア開発・ダイバーシティなどの業務に当たっている。自らの産休育休での経験を制度づくりに活かしている。D&I推進と多様な人材の活躍に欠かせない存在。

山中泰子(写真左)インタビュアー
株式会社QOOLキャリア 代表取締役社長
大学卒業後、ピラティスのインストラクターとして活動。結婚を機に大手IT系人材サービス企業に入社。人事部にて採用・育成・制度設計などに従事。自治体とともにひとり親家庭の就業支援事業を立ち上げ、保育施設を併設した就業施設の開設・運営に携わる。その後、上場会社の人事担当執行役員、スタートアップ企業の人事責任者を経て、2022年4月からQOOLキャリアで代表に就任。1児の母である自らの経験も活かし、キャリアアドバイザーとして仕事と育児の両立に悩む女性のキャリア支援も行う。

育児・介護休業法の改正内容以上に手厚い独自のプログラムとは?

――TMDは、ママやパパにうれしい制度が充実していると伺いました。どんなきっかけで制度化されたのですか?

向井さん(以下、敬称略) ダイバーシティ推進の社内アンケートを取っていたタイミングで、育児・介護休業法改正の発表があったのがひとつのきっかけです。改正内容にも着目しながら、それを超える内容で法改正の2022年4月に合わせて制度化させました。

荻野さん(以下、敬称略) 2022年以前も育休取得前や取得中のサポートに力を入れていたものの、復職後の働き方を現場任せにしてしまっていることが、当事者のアンケートから浮かび上がってきました。そこを改善できるように、向井本人の経験や現場の声を反映させながら「TMDパパママサポートプログラム」を形にしていきました。

育児・介護休業法改正内容はこちら:https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000789715.pdf

向井 私自身、現在は9時30分から16時30分の時短勤務です。復職直後は、時短での働き方に慣れるまで人にお願いしないといけないことが出てきてしまうことが、一番のモヤモヤポイントでした。
1人目の産休育休から復職した時は在宅勤務の仕組みがなく、子供が体調不良になると数日間業務に復帰できませんでした。事業所スタッフの人数が少なく、出産前のように貢献できなくなっていることが辛かったです。でもその時の職場がすごく温かく、嫌な顔をせずにチーム全体で力を貸してくれたことがとてもありがたかったと感じています。
当時はなるべく自分の状況をオープンにして協力を仰ぐことを心掛けていましたね。こちらの状況が見えないと、仕事を任せていいのか、周りも気を遣っていると感じました。時短社員のいない環境で、コミュニケーションや働き方の壁をすごく感じていたので、 その時の経験なども含めて、プログラムづくりに活かしています。

山中 キャリアを諦めず育児と両立するのは本当に大変ですよね。 私たちはそういった悩みを解決しながら、女性のキャリアアップが、収入アップにつながるようにご支援しています。男性育休の推進も不可欠なので、福利厚生サービス「TUMUGU(ツムグ)」の提案を通して進めていますが、経験者の意見が詰まったプログラムは本当に心強いですね。

――TMDパパママサポートプログラムの内容を教えてください。

荻野 このプログラムを通して、産休育休からのスムーズな復職をサポートしています。2022年4月の「育児・介護休業法改正」にも着目し、ママだけでなくパパも育休が取れることを目指しました。「妊娠中」「産・育休中」「復職後」「随時」の4つの段階で、それぞれのライフステージごとに細やかな面談や情報提供で対象者をサポートしています。

向井 ちょうど昨日出産の報告を受けて、役員の方と人事部の写真を使って「おめでとう」のメッセージを送ったところです。産・育休中も会社との接点を持てるよう、人事部としてコミュニケーションをとるようにしています。

荻野 社内で行っている、毎月所属を超えてありがとうを届けるサンクス表彰という仕組みでは、毎回と言っていい程復職直後のママから向井にありがとうが届くぐらい、このプログラムが役立っていると実感しています。月に1回、産休育休取得者向けにパパママニュースレターを通して社内情報も配信しています。向井自身の経験をもとに、保活情報も提供しています。

山中 ライフイベントのお祝いをしてもらうのは、仕事上の付き合いを超えて、エンゲージメントも高まりそうですね。人として大事にされてるっていう感覚は本当にパフォーマンスに影響が出ると思います。

荻野 妊娠の報告を受けた時には、所属長を交えての面談があります。業務の調整が必要なのは所属部署なので、人事と当事者だけの面談ではなく、相互理解をするためにもあえて所属長を交えています。所属長は男性が多いのですが、40、50代の子育て経験者ということもあり業務の調整にも理解を示してくれます。
プログラムの中にいろいろな項目を設けていて、初回面談では育休の取り方の説明をしています。相互理解を高める一番最初のタイミングなのでとても大切にしています。 復職前面談では、どんな働き方ができるか本人の希望を聞いています。お子さんの送迎の時間、緊急時のサポートはもちろん、どう働いていきたいかの想いも含めて聞くようにしていますね。復職者の希望をすべて叶えることが目的ではなく、同じ事業所の中でも担当を変えるなどできる調整を行うことで、、所属長と調整しながら本人も復職しやすく、周囲も働きやすい環境をづくりを目指しています。

山中 所属長も巻き込みながらの環境づくりは産休育休を取る方にとってもとてもありがたいですね。私はキャリアアドバイザーとして他社の社員さんから、妊活との両立や、復職した後の辛さのようなお悩みも聞きますが、なかなか現場からの理解を得るのが難しいそうです。御社の場合は、向井さんという子育て経験者が身近にいらっしゃることで、解決策を見つけやすく、さらに所属長と連携することで、社員の悩みに寄り添いながら適切に対応できる体制が整っていると感じました。

――他にも所属長に対してなにか働きかけていることはありますか?

荻野 年1回、イクボス研修を通して育児への理解を深めてもらっています。今年で3年目になりますが、最初の2年は、基本となる法律について、会社の制度についてを知ってもらうことを意識して伝えました。イクボスとして産休育休を取る社員との関わり方ももちろんですが、実際に取るという社員が出たときに、人事に丸投げするのではなく、相談に乗れる立場になってほしいと思っています。その方が現場の社員の安心感にも繋がると思っています。

山中 イクボス研修はどなたの発案ですか?イクボスという言葉にも、育児の知識が必要なことと、メンバーを育てていくという2つの意味があると感じてとても良いなと思いました。

荻野 私が考えました。育児をする社員に対しての理解があるだけではなく、自分自身がライフとキャリアを充実させて、生き生きとしている存在でいてほしいという気持ちも込めています。このメッセージは研修の冒頭に必ずお伝えしています。

――TMDパパママサポートプログラムの社員満足度はどうですか?

向井 とてもよいです。さらにプログラムをよくするためにも現場の声を大切にしたいと考えており、復職後3ヶ月のサポート終了後の面談が終わってから最後にアンケートを取っています。

荻野 プログラムを運用して生の声を拾いながらブラッシュアップもしているんですよね。例えば、復職直後に通常の時短よりもさらに短い慣らし勤務期間を導入しています。慣らし勤務期間は現状5営業日ですが、現場からもっと長くしてもいいのではないかという意見があったので、今後改善していければと思っています。

山中 PDCAがすごく回っていますね。弊社のママ社員を見ていると、特に復職初月はお子さんの体調不良の対応がとても大変そうです。慣らし勤務期間があると、ママ・パパ自身のリハビリにもなって、緊急時の対応もしやすくなりそうですね。

男性社員も積極的に参加するパパママ交流会

――パパママ交流会について教えてください。

向井 座談会という感じで、直近では、小1の壁をテーマに東急グループの学童保育を運営する株式会社東急キッズベースキャンプから講師を呼んで開催しました。参加者のお子さんの年齢は様々で、20名程集まりました。実は、娘が今年の4月から小学生になったこともこのテーマを決めるきっかけでした。

山中 男性が多いですね!

荻野 新米パパだと、相談できる男性が周りにあまりいない方が多いので、そういった時に積極的に参加してくれて、パパ同士がつながっています。毎回、男性の参加率が高いです。

向井 TMDには育児に積極的に参加しているパパがたくさんいるんですよ。男性育休を長期で取る方も増えてきています。2年連続で取得率は100%になりました。

子育てしながらでも、安心してキャリア形成ができる制度が充実

――キャリア形成をサポートしてくれる制度はありますか?

荻野 ブラザーシスター制度があり、メンターが個別支援をしています。1年で8か月間のサポートをしているので、その中で自由に活動ができる制度です。設定された予算を使い、2人で食事に行くこともできるんですよ。メンターを指名することもでき、現在20代後半で今後結婚や出産をしていきながら、キャリアアップしたい社員は向井をオファーしています。女性管理職が社長をオファーすることも最近は増えてきています。こんな感じのキャリアがいいというふわっとした希望には、接点がない社員同士でも人事側で戦略的にマッチングをしています。キャリア形成の一助にしてほしいですね。

山中 社長まで自分の声が届く可能性があるということが見えるのは風通しのよさをとても感じます。

荻野 他にも現在の所属とは異なる部署で業務を体験できる制度もあります。お仕事体験というのですが、社員から非常に好評です。

山中 社内での体験を通して色々と学べそうですね。お仕事体験は、参加される社員の方は次々に異なる部署を経験されていますか?1つの部署での期間はどれくらいですか?

荻野 部署を選ぶのは1年に1回で期間は3日前後のことが多いですが、受け入れ先によって異なります。TMDの運営するSCは、施設によって場所も運営形態も違うので、「隣の芝生は青く見える」社員の理解を深めたいと、相互理解をきっかけに始まった制度です。
「なんかいいな」「キラキラしてるな」と思っていても実はそうじゃなかったり、その逆だったりということも多くあると思っています。意外と社内で経験できることはたくさんあるので、それをうまく活用してほしいと思いますね。 私も実際に参加していますし、人事として受け入れもしています。

――昨年えるぼし認定も受けられ、女性の活躍推進にも力を入れられていると思いますが、今の女性管理職比率を教えてください。

えるぼし認定とは:「えるぼし認定」とは、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(以下、「女性活躍推進法」)に基づき、一定基準を満たし、女性の活躍促進に関する状況などが優良な企業を認定する制度です。
出展:女性活躍推進企業認定「えるぼし・プラチナえるぼし認定」
https://shokuba.mhlw.go.jp/published/special_02.htm

荻野 20%弱ですが、30%を目指しています。社員の男女比は半々なので、管理職比率も半々にできるポテンシャルがあると思っています。それこそ20代、30代の優秀な女性が多いので、時間が解決する部分もあるかなと思っています。

向井 今年度初めて、女性管理職の皆さんに、外部の女性管理職研修に参加してもらいました。自社研修だとメンバーが固定されて顔なじみなので、社外の方とお話して刺激をもらってほしいという想いがあります。

山中 御社はキャリアとライフの両立を目指す社員の方が多いと感じましたし、活躍する場がしっかりとあるんですね。他にも女性の活躍推進に向けて新しい制度をお考えですか?

荻野 管理職を目指していくこととは別に、ライフステージの変化に合わせて長く働きたいという希望が叶うような職種の拡充を検討しています。 できることが制限されている期間でも、TMDに貢献したい社員が多くいるので、その声に応えたいです。

社員全員の活躍の場をもっと広げたい

――今後達成したい目標や、将来的な展望をお聞かせください。

荻野 会社をよりよくしていくためにも、プロパー女性としてはまだ前例のない役員への任用を今後目指しています。TMDでは、中途社員も含めて全社員をプロパーと表現しています。プロパーである私がさらに先までキャリアを築くことで、性別や過去のキャリア問わずに、役員や社長も目指せるということを体現したいです。実は、この想いを社長の佐々木にも伝えていまして、親会社出身の佐々木が「できると思う!」言ってくれたことは、とてもありがたいと思っています。

向井 私は元々SC運営の人材として入社しているので、子育て中の社員の視点を、 SC事業に活かしていきたいと思っています。中期経営計画の中でもサステナビリティアクションを推進すると発信していて、その機会がたくさんあると考えています。特に力を入れている取り組みが「子どもの笑顔をつくる」です。まさに今、子育て関連の企画が動き始めているんですよ。子育てを経験しているからこそできる提案を通じて会社に貢献していけたら、今いるパパ・ママの社員もより活躍できると考えています。
“Tokyu Malls Development Sustainability Action”についてはこちら:https://www.sustainability-action.tokyu-tmd.com/

前向きさと柔軟さを兼ね備えた会社だから、情熱を絶やさず夢中になれる

常により良い職場づくりのために尽力している荻野さんと向井さん。現場の声を取り入れた制度が次々に出来上がるのは、お2人の情熱はもちろん、TMD全体に浸透している前向きさや、社員の声に耳を傾ける柔軟な姿勢があるからだと感じました。

株式会社東急モールズデベロップメントは一緒に働く仲間を募集しています

TMDでは、今後、時代の変化や社会のニーズに合わせ、お買い物をする場にとどまらない商業施設の新たなかたちを目指し、失敗や変革を恐れず主体的に行動・チャレンジができる人材を求めています。人々の暮らしを豊かにし、東急線沿線のまちや関わる全ての人がさらに輝き続けるため、東急グループのまちづくりをリードしていきたい、そんな思いや意欲のある方をお待ちしています。
採用情報ページはこちら:https://www.tokyu-tmd.co.jp/recruit/

従業員の働きがいをアップデートする福利厚生サービス「TUMUGU(ツムグ)」

QOOLキャリアは、女性のキャリアに留まらず全ての人がワーク・ライフ・シナジーを追求できる社会の実現を目指し活動しています。

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