パートナーに寄り添える妊活のために。男性不妊の現状と治療法を専門医が詳しく解説
2022年11月30日、株式会社QOOLキャリアは無料オンラインセミナー『パートナーと共に立つ妊活のスタートライン ~男性不妊の現状と男性妊活の具体的な内容とステップ~』を開催しました。
本コラムは、泌尿器と男性不妊のクリニック院長 寺井一隆さんと、株式会社ダンテさんにいただいたお話をもとに一部抜粋の上、セミナー内容を要約したものです。
男女問わず、妊活中の方やこれから妊活を考えている方はもちろん、当事者をサポートする人事労務担当者が知っておくべき「男性の不妊治療に関する情報」が満載です。男性不妊の正しい知識を学び、今後の治療やサポートに役立てていきましょう。
目次
※本セミナーは株式会社QOOLキャリア、男性の妊活をサポートする検査やサプリを提供する株式会社ダンテ、および葉酸や妊活サプリなどの美容健康食品を取り扱う株式会社ベルタとの共催です。セミナー詳細はこちらからご確認いただけます。
男性不妊の現状
男性の不妊治療に対する意識
野村総合研究所は不妊治療に取り組んでいる患者を対象に、「不妊治療のために医療機関を受診するきっかけ」を調査しました。この調査によると男性が自ら受診する割合よりも、パートナーから勧められて受診する割合の方が大きくなっています。
不妊治療の全体像と男性の関わり
不妊治療は「タイミング療法」、「人工授精」、「体外受精」、「顕微授精」の4ステップで行われます。どの治療法でも、女性は排卵日の特定や採卵、受精卵の注入など、通院が複数回必要になります。また通院タイミングは個人差が大きいため、仕事を休みながら不妊治療を続ける女性も多く見受けられます。
一方、男性はどうしても、女性の治療段階に合わせて精子を提供するだけの関わりになりがちです。また不妊治療は女性のタイミングによって進むので、男性がそのタイミングで仕事を休めず、男性から託された精液を持った女性のみが通院することもあります。
男性不妊の原因と治療法
男性不妊の主な原因は?
男性不妊の原因を分析した資料によると、精子がうまく造れない「造精機能障害」の割合が1位となっています。造精機能障害の次に多い原因は、勃起不全や、射精がうまくできない「性機能障害」です。なお、特発性とは原因不明を表す医療用語です。
男性不妊の原因第1位 造精機能障害
精巣が精子を作る工場だと考えると、精子を作るために必要なオーダー(下垂体ホルモン)、工場の状態(精巣内の構造や精索静脈瘤の有無)、製品の設計図(染色体や遺伝子)、製品を輸送する経路(精巣上体や精管)の4点に問題がないかを、しっかりとチェックする必要があります。
酸化ストレスへの対策
精巣環境を悪化させる因子の一つに、「酸化ストレス」があります。喫煙、飲酒、サウナなどの生活習慣や糖尿病は酸化ストレスを増やし、精子の状態を悪くすることが明らかになっています。
また酸化ストレスを増加させる器質的な異常の一つに「精索静脈瘤」があります。これは精巣からの静脈血が逆流することによって起こります。精索静脈瘤は、一般男性の約1〜2割が該当する症状で特に命には関わりませんが、精巣状態の悪化原因になります。実際、不妊に悩む男性の精索静脈瘤保有率は高くなっています。
精索静脈瘤は、逆流を止める手術で改善できます。ただ精子が造られて外に出てくるまで3カ月ほどかかるため、精子の状態が良好となるのは手術をしてから約3ヶ月後です。
男性不妊の原因第2位 機能不全障害
男性不妊症外来を受診した男性を対象にしたED症状の調査をしたところ、半数を超える約55%の男性が機能不全障害でした。一般の有病率と比較すると、かなりの割合であることがわかります。
なぜこれほどまでに不妊治療中の男性は、機能不全障害の有病率が高いのでしょうか。
機能不全障害は、本当にちょっとしたきっかけで起こります。不妊治療中の男性は、「排卵日に合わせて性交渉しなければならない」と義務感を持つようになります。しかし、そもそも勃起も射精も性的な興奮があるから起こる現象です。仕事のような義務感では、性交渉はうまくいきません。性交渉がうまくできなかった経験を繰り返すと自信をなくし、「頑張ろう」と思えば思うほどうまくいかない。これが典型的な発症パターンになります。
機能不全障害の改善のためには、まず「EDは特別ではない」という意識を患者さん本人とパートナーさんが持つ必要があります。当院ではカウンセリングや、薬を使用して成功体験を積み重ねる治療を行っています。
質疑応答
Q1. クリニックに通う頻度はどれくらいですか?
A1. 基本的には初診時に検査をして、その結果をお伝えする2回の通院が必要です。何らかの治療をして、精液に影響が出るのはだいたい3ヶ月後ですのでそのタイミングに合わせた通院をお願いしています。男性不妊治療の最終ゴールは精子の状態を良くすることではなく、妊娠・出産です。通院頻度に関しても、不妊治療のゴールを目指して何ができるのかを検討する中で決まってくると考えていただければと思います。
Q2. 精索静脈瘤手術は保険適用になりますか?
A2.精索静脈瘤手術は保険適用の対象医療となっています。しかし「精索静脈瘤手術」とネットで調べると、自費医療の手術案内が多く見つかるかと思います。これは日帰りや局所麻酔で手術を行うと、医療機関が十分な収益を得られないような診療報酬設定になっていることが原因です。当院は自費診療での手術を行っていますので、保険での手術をご希望の場合には、保険診療を行っている病院をご紹介しております。保険適応での手術の場合、手術までの待ち時間が長くなってしまったり、入院での手術になったりすることがあります。パートナーさんの治療状況や年齢を鑑みて、時間を優先させて保険適用外の自費治療を選択される患者さんもいらっしゃいます。
Q3. 検査や通院に非協力的な男性との適切なコミュニケーション方法は?
A3.これは本当に難しい問題です。個人的な意見ですが、大切なパートナーの言葉を素直に受け入れられない方もいらっしゃいます。男性の兄弟や同僚など、信頼している第三者の経験やアドバイスが効果的なケースもあります。なかなか難しいかもしれませんが、パートナーさんが直接伝えるのではなく、第三者に協力してもらうのも一つの方法ではないでしょうか。
株式会社ダンテの精液チェックキットと妊活サプリメントのご紹介
本セミナー共催の株式会社ダンテ
株式会社ダンテは、広島大学発のベンチャー企業です。精液成分の郵送検査キットや男性妊活のサプリメント開発・販売を行っています。生殖科学の第一人者である広島大学の島田昌之教授と共に研究を行っています。
受精に必要な精子の動きに着目
精子が卵子に確実に出会うためには、卵管をまっすぐ泳ぎ続けることが非常に重要です。このまっすぐ泳ぐ動きには、精液に含まれる「クレアチン」という成分が必要であると明らかになっています。また泳ぎ続ける時に発生する酸化ストレスを軽減する成分も、同時に必要になります。
ダンテ精液成分郵送検査キット「バディチェック クレアチン」
ダンテの精液成分郵送検査キット「バディチェック クレアチン」は、精子の動きをサポートする精液成分クレアチンを測定します。アマゾンや一部の医療機関にてお買い求めが可能です。配送料は受け取り側の負担のため、キット購入費以外の費用はかかりません。
ダンテの2週間飲みきりサプリメント「ファミリープログラム」
クレアチン摂取のためには、食事にかなりの量の肉や魚を加えることが必要なため、大変な労力がかかります。そこでダンテは、2週間飲みきりタイプの男性妊活サプリメント「ファミリープログラム」も開発しています。
このサプリの特徴は、飲み切りタイプである点。パートナーの生理期間開始にあわせて飲み始め、約2週間後の排卵日を目指して飲みきる摂取スケジュールなので夫婦コミュニケーションも促進できるサプリです。ファミリープログラムサプリには「クレアチン」と、抗酸化作用を持つアミノ酸の一種「エルゴチオネイン」が含まれています。
株式会社QOOLキャリアが提供する福利厚生サービス『TUMUGU(つむぐ)』の会員様には、割引クーポンを配布しています。詳細は株式会社ダンテのWebサイトをご確認ください。下記QRコードからもアクセスできます。
まとめ
男性不妊の現状と治療法について、わかりやすくお伝えする本コラム。いかがだったでしょうか。
どうしても男性は、他人事として不妊を捉えてしまいがちです。男女どちらに原因があるかどうかに関わりなく、男性不妊に関する知識と対策を学ぶことはパートナーシップ構築の一助になります。また企業の人事労務担当者にとっては、より良い支援のあり方を考える第一歩となります。本コラムを参考に、個人や企業が妊活当事者をサポートできる社会の実現を目指しましょう。
アーカイブ配信について
本セミナーはアーカイブ動画にて視聴が可能です。
以下URLよりお申込みください。
https://forms.gle/bXqQq5EQcCkiGTMw8
視聴期限:2023年1月31日(火)23:59まで
申込期限:2023年1月31日(火)17:00まで