営業職と子育てを両立できているのは、経験の積み重ねや周囲のサポート、柔軟に働ける場があるから
アデコ株式会社の営業部門でご活躍されている上野陽子さん。30歳を目の前にカナダへの語学留学も果たしさらなるキャリアを拡げる中、出産や子育てに関しては営業職と両立させられるか不安もあったそうです。しかし、現在は3歳のお子さんを育てながら時短で営業の仕事を続けていらっしゃいます。今回は、上野さんに子育てと営業の仕事の両立の仕方や、出産前から心がけたほうがよい仕事に対する姿勢などをお伺いしました。
上野陽子
アデコ株式会社
会社を休職して海外留学を経験
私は、新卒入社から約6年、一貫して営業職を経験した後、2011年に休職してカナダへ留学し外資系ホテルの人事部でインターンシップを体験しました。 海外留学をしようと決めた理由はいくつかあるのですが、中学を卒業するまで父親の仕事の都合でシンガポールに住んでいた経験があり、もう一度単なる旅行としてではなく海外で生活をしたい、仕事をしてみたいとずっと思っていたからです。
また、当時担当していた総合商社のお客様より海外案件のお問合わせを頂き、Adecco Thailandの日本部門を立ち上げた方に営業同行頂く機会がありました。その時、入社以来初めて海外のAdeccoに興味が湧きました。当時、ワーキングホリデービザで渡航したのですが、ビザ取得のリミットが30歳までだったので、行くなら29歳の今しかないと迷いはありませんでした。
一年も日本を離れるので、会社は退職せざるを得ないと覚悟していたのですが、退職を願い出た際上司に理由を聞かれ「海外に留学しビジネス英語を身につけ、キャリアを築くうえでの自分の強みにしたい」という内容を伝えたところ、それを上司が部長へ伝えてくださり、部長もとても親身に今後のキャリアを一緒に考えてくださいました。更には社長へと伝えていただいて、最終的には社長と面談することになりました。
当時は営業現場の経験があり、英語を使える社員が少なかったこともあり、「そのような人財が今後より必要となるだろうから、ぜひ戻ってきて欲しい」という言葉をいただき、会社には1年間休職扱いで留学できることになりました。
留学先では外資系ホテルの人事部でインターン生として、日本人は1人という職場環境で働くことができ、実際に面接場面にも同席することができました。やはり選考基準や面談のしかたなど日本とは全く違う面も多く、大変参考になりました。その時の経験は、日本に帰ってから外資系の企業で外国人の方が面接するときのアドバイスにも生かされていると思います。
出産後も営業職を続けられるか不安だった
出産・子育てと両立することに関しては実は以前からかなり不安があり、正直なところ営業職を続けるのは無理だろうと思っていました。当時はリモートワークなどをやっている人も少なく、日中外で商談をして夕方会社に戻ってから事務処理をするという流れだったので、どうしても帰宅が遅くなってしまうことが多くありました。この働き方では子育てとはとても両立できないと思っていました。 現在、3歳の息子がいるのですが、時短で営業職として今のところなんとかやっていけている理由として思い付くことが3つあります。
一つ目は、今までの仕事の実績や社内の人間関係など、ある程度信頼を得られている環境に復帰できたことです。子どもが小さいときはどうしても急なお休みをいただくことも多く、出産前のように仕事ができない場面も多いです。でも良好な関係があるので上司やチームメンバーが理解しサポートしてくださいます。
二つ目は、これまで積み上げてきた自分自身の業務における経験値です。どのような仕事にも通ずるとは思いますが、やはり経験を積んだ業務であれば短時間で対応できるようになりますし、判断や決断も早く、応用も効きやすいと思います。だからこそ、子育てで仕事にかけられる時間が短くなった状況下でも乗り越えられているのではないかと思います。
三つ目として、職場環境の変化や会社の制度が整備されたこともあると思います。今はパソコンさえあればどこでも仕事ができるようになってきました。以前は会社に戻ってからでないとできなかった事務処理も、営業先でのアポイントのすきま時間や、電車での移動時間など、うまく時間を見つけることで外出先でも処理できるようになりました。メール返信やメンバーとのコミュニケーションなどもスマホだけでできる作業も多いので移動中立ったままでも仕事ができます。
すきま時間を有効活用し、保育園にお迎えに行く前までになるべく仕事を終わらせるようにしています。 この3つの他に一番のベースとなるのは夫との連携だと思います。お互いの仕事状況に応じ協力し合いながら家事・育児を回しています。
自由な働き方ができる社風に助けられて
弊社はコアタイムがない完全なフルフレックスです。ですから、子供を病院に連れて行くなどで出社が遅れてしまいそうなときでも、フレックスタイムの中で対応している方が多くいます。また、子供を迎えに行った後、自宅で仕事を行うというスタイルもとれます。子育てをしながら働く立場としては、とても働きやすいですね。リモートワークもすすんでいて、週に3日は在宅にしている方もいらっしゃいます。それぞれのスタイルで働き方が選べるようになっているのです。
こうしたさまざまな働き方が許可されていることもあり、女性の出産後の復職率97%と大変高く、それが当たり前という感じです。子育てしながら働いている女性も多いので、こうした先輩方になにか困ったことがあったときに相談ができるのもありがたいですね。
弊社の働き方でつけ加えると、本業以外で活躍の場を広げながら自分のキャリアを築いていく「パラレルキャリア」も推進されています。人財サービス業を提供する会社なので、そういった働き方の面では新しいものを積極的にとり入れていく社風があります。
将来的にはまた海外と関わりのある仕事をしたい
少し先の目標としては、やはり海外とのつながりがある仕事をしていきたいと考えています。父がずっと海外で仕事をしている姿を見ているので、それに対する憧れもあって、自分も英語を使って海外との関わりを持ちたいという気持ちが今もあります。また、いずれは息子と一緒に海外留学ができたらという夢もあります。これから先も自分のキャリア開発も進めながら子育てとの両立を図っていきたいと思っています。