福利厚生とは?福利厚生の種類や充実させるメリット・デメリットを解説!
従業員の定着や人材採用についてのお悩みはありませんか?
本記事では、福利厚生について、充実させるメリット・デメリットも含めてご紹介しています。福利厚生とは、企業や従業員、その家族の健康や生活を向上させるための施策や取り組みの総称です。法律で義務付けられているもの以外は、企業が自由に設定できます。福利厚生を充実させると従業員の満足度が上がるだけでなく、巡り巡って企業の採用力や従業員の定着力にも影響を与えます。他社との差別化を図り、自社のブランドイメージの発信にもつながるのです。福利厚生を見直すことで魅力的な職場となり、職員の定着率向上や優秀な人材を採用するために優位に働くことが期待されます。
ここでは、福利厚生の種類や、充実させるメリット・デメリットについてまとめています。
1.福利厚生とは
福利厚生とは、企業が従業員やその家族の健康や生活を向上させるための施策や取り組みの総称です。福利厚生には、法律で定められた法定福利厚生と、企業が自由に設定することのできる法定外福利厚生があります。
法定福利厚生とは
法律によって義務付けられているものです。健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労働者災害補償保険、子ども・子育て拠出金が法定福利厚生にあたります。
法定外福利厚生とは
法律で定められたものではなく、企業が独自に設定することのできる福利厚生です。企業によって多彩な福利厚生が設定されています。分類すると、大きく11種類に分けられます。
①財形形成(財形貯蓄制度など)
②食事(食事手当、食堂など)
③健康管理(人間ドック受診の補助、メンタルヘルス相談、フィットネスクラブの利用補助など)
④両立支援(法定を上回る育児・介護休業制度、保育サービスなど)
⑤休暇制度(慶弔休暇、病気休暇、リフレッシュ休暇など)
⑥自己啓発(社内の自己啓発プログラム、社外の自己啓発サービスの経費補助など)
⑦慶弔災害関連(慶弔見舞金、永年勤続表彰など)
⑧住宅(社宅の整備、住宅手当、家賃補助など)
⑨余暇活動(保養施設の利用補助、社員旅行の実施など)
⑩働き方(短時間勤務制度、フレックスタイム制度など)
⑪高齢者(退職前準備教育、定年退職後の医療保障など)
財形形成、食事、住宅などは従来から福利厚生として設定されていました。近年は、「健康管理」、「休暇制度」、「働き方」、「両立支援」、「自己啓発」に関する福利厚生を検討・設定する企業が増えています。
参考:労働政策研究・研修機構(JILPT),第Ⅰ部 「企業における福利厚生施策の 実態に関する調査」 企業/従業員アンケート調査
2、福利厚生を充実させる4つのメリット
福利厚生を充実させることで、企業にとってさまざまなメリットがあります。今回は、4つのメリットをご紹介します。
( 1 )従業員の健康維持に役立つ
例えば、福利厚生を活用し、健康診断の受診率向上を図ることも可能です。心身の健康があってこその仕事。従業員の健康保持・増進を図ることは、企業にとっても重要な課題であると言えるでしょう。従業員が生き生きと仕事に取り組み、能力を発揮してもらうことが、企業の成長にもつながります。
( 2 )従業員の満足度が高まる
福利厚生を充実させることで、従業員の満足度を高めることも可能です。ワークライフバランスの調和がとれることで、仕事への意欲も向上します。心身の負担が少なく、働きやすい職場となることで、定着率アップが望めるのではないでしょうか。
( 3 )企業のイメージアップにつながる
就職活動中の学生や求職者は各企業の福利厚生がどれだけ充実しているかを見ています。福利厚生が充実している ≒ 従業員を大切にしている企業である、といったイメージにつながります。福利厚生の充実は、優秀な人材を採用する上でも有利に働くでしょう。大企業のほうが福利厚生が充実しているというイメージを持たれがちですが、福利厚生を充実させることで他の企業との差別化を図ることが可能です。
( 4 )法人税の節約になる
条件を満たした福利厚生費は、全額を経費に計上することができます。範囲や上限の定めもありません。そのため、福利厚生を充実させることで、税負担の軽減も可能となるのです。
少子高齢社会となり、ワークライフバランスを大切にする働き方を重要視する方が増えてきました。就職先選びの視点としても、職務内容や職場環境だけでなく、福利厚生の充実度を重要視する求職者も少なくありません。特に女性は、結婚、妊娠、出産、育児、介護とライフステージが大きく変化していきます。そんな中でも長く働き続けることができ、自身のキャリアアップを図ることのできる企業を求めています。
3、福利厚生を充実させるデメリットは「コスト」
福利厚生制度を充実させるためには、どうしてもコストがかかってしまいます。しかし、先ほど述べたように全額を経費に計上することが可能です。費用対効果を考慮した上で、福利厚生を設定していくという考えで導入の検討ができます。
4、カフェテリアプランとパッケージプランについて
福利厚生の内容は企業によってさまざまなものが提供されていますが、従業員が自分で選んで利用することができる方法をとっている企業もあります。カフェテリアプランとパッケージプランについて、そのメリット・デメリットも含めて解説していきます。
カフェテリアプランのメリットとデメリット
カフェテリアプランは、いくつか用意されたメニューの中から従業員自身が選ぶことができるシステムです。支給されたポイントの範囲内で自由に選ぶことができます。カフェテリアプランのシステムは、企業が独自に構築しているケースもあれば、アウトソーシングを利用することも可能です。日本ではじめてカフェテリアプランが導入されたのは1995年、ベネッセコーポレーションでした。その後は民間企業だけでなく、健康保険組合、企業共済会、公共団体まで広がりました。カフェテリアプラン導入企業は2017年には16.6%へと増加しています。そのうち8割以上が大企業が占めています。
参考:一般社団法人日本経済団体連合会.第64回福利厚生費調査結果報告2019年度(2019年4月~2020年3月)
≪カフェテリアプランのメリット≫
企業側
・従業員1人1人のポイント上限が決まっているため、福利厚生費の管理がしやすい
・用意されているメニューから選ぶことで、従業員へ公平に福利厚生を提供できる
従業員側
・多彩なメニューの中からニーズに合った福利厚生を主体的に選ぶことができるので満足感が高まる
≪カフェテリアプランのデメリット≫
企業側
・システム構築のための手間とコストがかかる
・提供するメニューの内容によって、課税か非課税か分かれるので運用の手間がかかる
従業員側
・付与されたポイントが単年度で清算される場合、
使用しなかったポイントが年度末で消滅するため不満を感じる人もいる
パッケージプランのメリットとデメリット
パッケージプランとは、いくつかの福利厚生サービスをパッケージにして提供するアウトソーシングサービスです。こちらでは、アウトソーサーによって設定された多種多様なメニューの中から、従業員が選んで利用できます。特徴としては、子育て支援なども充実していることが挙げられます。
≪パッケージプランのメリット≫
企業側
・福利厚生の管理の手間を省くことができる
・予算に応じて、プランを選択することができる
従業員側
・多様なメニューの中から選ぶことができるため、満足度が高まる
≪パッケージプランのデメリット≫
企業側
・予算によって、提供されるサービスに差が生まれる
(予算が少ないと、選べるメニューが少なくなってしまう。)
従業員側
・サービスを利用しない人も出てきてしまう
・大勢の利用者がいるため、希望する施設の予約がとれない可能性がある
5、まとめ
本記事では、福利厚生の種類と充実させるメリット・デメリットについてまとめました。福利厚生の種類には、法律で義務付けられている「法定福利厚生」と企業が自由に設定できる「法定外福利厚生」があります。法定外福利厚生を充実させると、従業員の満足度が高まるだけでなく、企業のイメージアップにつながるというメリットもあります。福利厚生を充実させるには費用がかかりますが、法人税の節約にもなるという利点もあります。導入方法としては、独自で運用する方法のほかに、カフェテリアプランやパッケージプランを活用するという方法もあります。アウトソーシングサービスを活用することで、手間やコストを抑えて福利厚生を充実させることも可能です。従業員満足度の向上のみならず企業のイメージアップのためにも、福利厚生の内容を今一度見直してみてはいかがでしょうか。これからの企業の成長のためにも、魅力的な職場環境の整備に努めましょう。